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今回は、『タロット象徴事典』についてのレビューを書いてみました。
タロット象徴事典 について
本のタイトル通り、タロットカードに描かれた象徴(絵)を深く理解する為の一冊。
その為、スプレッドの紹介やスプレッドに準じたリーディング例などはありません。
『タロット占い』について学ぶ本ではなく、『タロットカードに描かれている内容』について詳しく学べる本だと考えると良いでしょう。
初心者には難しく感じる部分もあるかと思いますが、タロットカードに描かれている象徴に興味がある人は、基本的に楽しく読めるのではないかと思います。
『事典』と名が付くだけあって、象徴好きが納得できるだけの情報量が掲載されています。
タロット象徴事典 の主な内容
本書は大きく二部構成になっており、第一部が大アルカナ22枚の解説、第二部が小アルカナ56枚の解説になっています。
そして、その前後にカード解説の補足的な内容があります。
以下、本書の目次と詳しい内容を紹介していきます。
本書に登場するタロット
見出しのままですが、大アルカナの解説ページに参考として出てくるタロットカードのデッキ紹介をしているページです。
スタンダードなウエイト版だけでなく、ヴィスコンティ版やマルセイユ版のバージョン違いなど、タロットの歴史を振り返った時に出てくる古いタロットデッキたちが紹介されています。
カードの構成枚数や制作時の考察なども書かれており、タロットカードの変遷を知る事ができます。
ウエイト版の大アルカナと小アルカナと生命の樹
本書のメインの内容であるカード解説の前知識として、簡単ではありますが、大アルカナ、小アルカナそれぞれがカバラの生命の樹とどのように対応しているか説明されています。
加えて、大アルカナの対応には、著書が考える徳目(キーワード)一覧があり、小アルカナの対応には、十惑星とその象意をまとめた一覧表があります。
また、小アルカナを理解するための数字(1〜10)の象徴的解釈と、スートと四大要素、コートカードなどの解説も載っており、充実した内容になっています。
初心者はこの部分を読むだけでも勉強になると思います。
第一部 大アルカナ
大アルカナ22枚のカード解説です。
カード解説は、ヴィスコンティ版のキャリー・イェール・パック、ベルガモ・パック、マルセイユ版と言った、年代の古いカード順に考察や解説がされ、最後にウエイト版の象徴解釈(象徴・記号・寓意・図像)と生命の樹の対応が説明されています。
解説順としてはウエイト版が最後ですが、解説のメインはあくまでウエイト版です。
解説ボリュームも他のカードと比べ物になりません。
この一冊を読んでいる人と読んでいない人では、確実に知識の差が出るくらいの情報量があります。
そして、象徴の解説の最後には、正位置と逆位置のキーワードも書かれており、『起こり得るできごと』や『恋の行方は?』と言ったリーディング例も掲載されています。
『恋の行方は?』に関しては、『片想いの恋は』『交際中の2人は』『出会いは』『結婚は』と言ったシチュエーション別のリーディング例もあります。
↑そして、最後にウエイト版のシンボル早見表と、カードが対応している四大元素や惑星、生命の樹、曜日、人体、色彩、鉱物、花、食品、アイテムなどがまとめられた照応表があります。
それぞれの大アルカナのカードが対応している、鉱物や花、食品と言ったものは、他の書籍に書かれているのを見た事が無いので、この表は重宝できると思います。
ただし、この照応表に書かれているモノが全て正しいかと言うと、根拠が乏しく著者の独自見解に見えるものもあるので、読者の見極めが必要なのではないかと思います。
タロットと美術の世界
ざっくりですが、美術(主に絵画)の歴史と、絵画の象徴(図像、構図、色彩、配置など)について書かれています。
そしてその美術的な視点から、タロットカードに込められた象徴解釈の考察をしています。
タロットカードは宗教画をモチーフにしているものもあるので、絵画の象徴についても知っておくと、カードの理解を深めるのに役立つでしょう。
第二部 小アルカナ
小アルカナ56枚の解説です。
小アルカナの解説はウエイト版のみで、大アルカナに出てきたウエイト版以外のカードに関する記述はありません。
その為、大アルカナの解説に比べてボリュームは少なめになっています。
解説の内訳としては、
『絵柄の解説(象徴・記号・寓意・図像)』
『象徴的解釈』
『起こり得るできごと(正位置・逆位置)』
『照応関係(四大要素、生命の樹、惑星、星座・十二宮、色、曜日)』
と、なっています。
残念ながら、大アルカナの解説にあったリーディング例の『恋の行方』と、小アルカナの照応の、鉱物、花、食品、アイテムなどはありません。
大アルカナに比べてボリュームが少なくなったとは言え、カードの象徴解釈の理解は確実に深まるだけの情報はあります。
タロット象徴事典 の個人的な感想
タロットカードに描かれている『絵』にどんな意味があるのかを知りたいなら、読んで絶対に損する事は無いと思う一冊。
ただし、これ一冊でタロットカードに描かれている象徴を全て網羅できるわけではないので、過度の期待は禁物です。
とことん、タロットカードの象徴を理解したい人は、本書とレイチェルポラックの『タロットの書 叡智の78の段階』を合わせて読む事をオススメします。
※この2冊を読めば、ウエイト版のカードに描かれている象徴については、ほぼ理解ができると思います!
また、象徴そのものに興味は無くても、ウエイト版タロットの生みの親である、アーサー・エドワード・ウエイトのカード解釈を重視したいと考える人にも、本書はオススメです。
理由としては、『タロット公式テキストブック』や、その前身である『Pictorial Key to the Tarot』でウエイト先生が解説している内容の補足的説明が本書に多いからです。
そういう意味では、本書をメインの解説書として所持するよりも、『Pictorial Key to the Tarot(またはタロット公式テキストブック)』および『タロットの書 叡智の78の段階』の副読本として所持しておくのがベストだと思います。
そこまでの知識は求めず、気軽にタロット占いを覚えたい人や、カードのキーワードやリーディング例を手っ取り早く知りたいと考えている人は、別の書籍を読む方がいいでしょう。
初心者上級者を問わず、ウエイト版の象徴にどこまで興味を持てるかで、評価が別れる書籍だと思います。
以上、『タロット象徴事典【レビュー・感想】』でした。