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タロット公式テキストブック【レビュー・感想】

タロット公式テキストブック【レビュー・感想】

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今回は、『タロット公式テキストブック』についてのレビュー・感想を書いてみました。

タロット公式テキストブックについて

タロット公式テキストブック
タロット公式テキストブック
著者:アーサー・E・ウエイト
訳者:シビル・オカダ
解説:アレクサンドリア木星王
出版:魔女の家BOOKS

ウエイト版タロットの誕生100年を記念して、絶版化していたタロットの解説本、『タロット図解』および『新タロット図解』がリニューアルされた本が『タロット公式テキストブック』です。

『公式』という言葉が使われているので、ウエイト版タロットを販売しているUSゲーム社(またはライダー社)等が推奨している正規の解説本の日本語版のように思ってしまいますが、この本のイントロダクションを読む限り、公式としてどこかに認められているわけではないようです。

何より、”読者に目を留めていただくために「タロット公式テキストブック」とした。”と、最初のページに書かれています。
元々は、原書名の『ピクトリアル・キー・タロット』というタイトルを予定していたそうです。

ただ、本書の内容は、ウエイト版タロットの生みの親である『アーサー・E・ウエイト』が残した解説を翻訳したものとなっていますので、広義の意味で公式として捉えることができる一冊だと思います。

タロット公式テキストブック の内容

1. 口絵として色々なタロットデッキの紹介

すでに絶版になっているタロットデッキを中心に、さまざまなタロットが32Pにわたってカラーで紹介されています。

ただし、掲載されているカードは、それぞれのタロットデッキから抜粋された3~6枚のカードだけですので、全部のカードの絵柄を確認できるわけではありません。

タロットの歴史を知る上での資料的側面が強いと思います。

2. 古典タロット(大アルカナ)に描かれている絵の説明と考察

古典タロットの大アルカナのそれぞれのカードに描かれている絵の内容とそれに対する考察が書かれています。

それぞれのカードが何を暗示するのかの説明ではなく、カードに描かれている絵(デザイン)が何を書いたものなのかの説明が中心です。

絵のモチーフとなったモノや18世紀当時の考え方など、ポイントとなる部分が説明されており、タロットの理解を深めるのに役立ちます。

ただし、単純に『タロット占いができるようになりたいだけ』と言うような、いわゆる初心者の方には少し難しい内容かと思います。

あと、この章の最後の3ページでタロットカードの歴史も書かれています。
ただし、これを読めばタロットの歴史がわかる!と言うほどの深い内容ではなく、参考程度の歴史紹介です。

3. ライダー・ウエイト・タロットの説明と正逆のキーワード

本書のメインである、ライダー・ウエイト・タロットの解説です。
大アルカナ、小アルカナともにカードの解説と正位置、逆位置のキーワードが書かれています。

大アルカナの解説はそれなりのボリュームがありますが、キーワード例と小アルカナの解説(キーワード含む)は、かなり簡素な内容となっています。

そのため、この本だけでタロット占いができるようになるとは考えにくく、初心者の人は、この本以外にも他の解説本が必要になると思います。

ただし、キーワード例の紹介時に、アーサー・E・ウエイトの解説が入っているものもあります。

そのほとんどが一、二行の説明だけなんですが、他の書籍でも引用されている内容も多く、これが新しい発見だったり、実際のリーディングにおいても役立つ内容だったりします。
僕が小アルカナの解説をするの時も、たくさん参考にさせてもらいました。

個人的には量は少なくても、この部分が『タロット公式テキストブック』の中で最も価値を感じます。

4. コンビネーション・リーディング

スプレッド(カードの並べ方・展開方法)は、ケルト十字と他2パターンの説明があるが、あまり深い内容ではないので、スプレッドの解説は期待しない方が良いかと思います。

その変わりというわけでは無いと思いますが、小アルカナのコンビ―ネーションリーディングがたくさん紹介されています。

例えば、3枚のナイトが出てきた場合、激しい論争、内紛、内輪もめ。というような感じです。
タロット公式テキストブック
約55ページにわたって説明されています。
かなりボリュームあります。

2枚引き、3枚引きで占う方には役立つ内容だと思います。

5. アーサー・E・ウエイトとパメラ・C・スミス

ライダータロットを学ぶ上で欠かせない二人のことを、アレクサンドリア木星王が解説してくれています。

それぞれの人物像を知ることができるので、二人のことをよく知らないという人には、ぜひ読んでみて欲しい内容です。

6. タロットカードの変遷

ウエイト版タロット裏面史という章では、アレクサンドリア木星王がタロットカードの変遷を解説してくれています。

「パメラの原画は白黒版だった」とか「赤と紺の2色刷りのウエイト版」などのタロットカードのトリビア的な内容や、タロットデッキの販売(ビジネス)の話しなどがあります。

タロット公式テキストブックの個人的な感想

タロット公式テキストブック
基本的には、アーサー・E・ウエイトの意図をしっかり理解したい人に向けた本です。

タロットカードをきちんと学びたい人は持っておきたい一冊ですが、途中にも書いたように、これ一冊あればOK!というような内容ではありません。

ですので、これからタロットを勉強しようと考えている人は、一冊目に購入するのではなく、二冊目もしくは三冊目あたりに購入するのがベストかなと思います。

アーサー・E・ウエイトの意図を元にタロットの知識を深めるのではなく、単純にタロット占いができるようになりたいだけであれば、購入しなくても問題ないとも思います。

※2021年7月現在、価格がプレミア化しており、定価で手に入れるのはかなり難しそうです。
個人的には、タロットを学ぶ多くの人に読んでもらいたい一冊なので、非常に残念です。
以上、『タロット公式テキストブック【レビュー・感想】』でした。

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